睡蓮の幻
泥の中に根を張って、冷たい水の上に美しい花を咲かせる。その花の名前はナークローゼン(睡蓮)。
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My Cup of Tea
ギガンティア関連から派生した偽シナ。
カレン所長とティータイム。

※一つのティースタンドに二人分のケーキ類が載っています。
参考にした写真ではそうなってたので。
格式高いところでは人数分のスタンドが出るのかしら?
実際に見たことはないのでわかりません。


■【 My Cup of Tea 】■

「外観だけじゃなく、中も洒落た感じだな」

巷で評判のカフェ『ジャルダン・デュ・ロワ』(略してJR)。
カレンデュラ(c03741)は紫煙をくゆらせながら、内装をぐるりと見回した。
どのような記事にしようか考えているのだろう。

「味だけじゃなく店の雰囲気だって大事だものね」
「上品すぎて俺にはちぃっと馴染まねえかなァ」
「確かにカレン所長は酒場の方が合うかもね」

でもたまにはこういうのも悪くないでしょ?と笑うラヴィエラ(c03887)に、
そうだなと返して、カレンデュラは煙草を灰皿に押し付けた。
そろそろ頼んでいた物が来るはずだ。
紅茶の香りを煙草で消してしまうのは、紅茶好きなラヴィエラに悪い気がした。

カレンデュラの読み通り、煙草を消してすぐ後、
テーブルにティースタンドが運ばれてきた。
一段目にはサンドイッチ、スコーン、小瓶に入ったコンフィチュール。
二段目にはガトーショコラ、苺タルト、ふわふわホイップロールケーキ。
三段目にはカラフルなマカロンやエクレア、一口サイズのプティ・フール。

続いて紅茶。
紅茶マイスターの資格を持ったウェイターが、最適な温度・最適な淹れ方で
一人ひとりのカップに紅茶を注ぐ。
茶葉はもちろん一級品。
淹れたての紅茶の豊潤な香りが鼻をくすぐる。

これぞ正統派アフタヌーンティー!
ラヴィエラの目にはどれもこれも輝いてみえた。
ずっと憧れていたティーセット。
でも、今までは店の前を通り過ぎるだけだった。
それもそのはず

― スペシャルティーセット 60ダルク(1人分)

紅茶やスイーツの味がスペシャルなら、お値段もスペシャルなのだ。
ラヴィエラにとってはかなり高い金額だ。

では、何故そのスペシャルティーセットが目の前にあるのか。
その理由は数日前にさかのぼる。

■ ■ ■

ある日、
カレッリ新聞の数人で取材のためにギガンティアを訪れた。
たまたま暇だった―というのは本人談で、実は決済待ち書類が山ほどある―
カレッリ新聞の所長、カレンデュラもそこに居た。

「カレン所長!決済期限そろそろじゃないの?」
「いやそのアレだ!体を動かすと集中力が高まって早く処理でき…
 なんだお前ら!俺は嘘は言ってないぞ!」
「私は何も言ってませんけど、何故動揺してるんです?」
「何かやましいことがあるの?」

ギガンティア内でもいつも通りだった。
そう、たとえモンスターが出ようとも。

「カレン所長がいると、サンダーボルトの威力が上がるわー!」
「ちょ、ラヴィ嬢ちゃん、笑顔が怖いんだが、俺の気のせいかい?」
「ふふふ、冗談よ……(たぶん)冗談。」
「そ、そうか。俺はてっきり戸棚の来客用ケーキを勝手に食ったのが
 バレてたんじゃねえかと思ってな……あ!」

カレンデュラは口を滑らせた。ボアヘッドを一撃で斬り伏せながら。
格好良いはずなのにどこか抜けている。
こういうところが所長らしい……と同行メンバーは思ったに違いない。
ギガンティアからの帰還後、ラヴィエラから
罰としてアフタヌーンティーセットを奢れと言われて承諾したのが
そもそもの始まりだった。
だが、この時はまだスペシャルではない。
アフタヌーンティーセットは40ダルク。
60ダルクのスペシャルに昇格したのには別の理由があった。

また別の日、

「カレン所長、私の机に未決済書類の束が紛れこんでたわよ」
「ありゃ、ラヴィ嬢ちゃんの所にあったのか!」
「ちゃんと処理するなら、罰は事務所の紅茶で勘弁してあげる」
「ティーセットはいいのかい?ラヴィ嬢ちゃん、欲が無えなァ。
 俺なら『書類見つけてやったんだから、スペシャルティーセットな』
 ってつり上げるところだが」

カレンデュラはデスクから足を下ろして

「あの店のティーセット美味そうなんだが。
 ま、ラヴィ嬢ちゃんが言うなら仕方ねえかなー」

そう言いながら、わざとらしく事務所の紅茶を取りに行こうとしたが、

「えっ!あ、待って!」

ラヴィエラが慌てて制止した。
これはもしや、もしかして、もしかしなくても……。

「やっぱりスペシャルティーセットがいい!
 でもいいの!?本当にいいのね!?カレン所長太っ腹!」

形だけは疑問形だが、疑問でも何でもなく既に決定事項であった。

■ ■ ■

「うふふー♪美味しそう!どれから食べようかな?」
「そう嬉しそうにしてもらえると、奢る甲斐があるってもんだ。
 他にも試してみたいものがあれば、遠慮なく頼んでもらっても構わんぜ」
「ホント!?じゃあ遠慮なくメニュー全種類の制覇を……」
「前言撤回してもいいかい?明日から俺の飯がもやしだけになっちまう」
「ふふふ、冗談よ」

ラヴィエラは喜色満面で、ティースタンドからケーキをいくつか選び
二枚の皿に取り分けていく。
そのうちの片方を「はい、どうぞ」とカレンデュラに差し出した。

「しっかし、カフェで甘い物を食べるなんざガキの時以来だな。
 ラヴィ嬢ちゃんは結構カフェでケーキとか食べたりするのかい?」
「ええ、カフェにはよく行くわ。もっと安い所だけど。……あ、そういえば、
 男性と二人でオシャレなカフェに入るってちょっとデートみたいね。
 ふふふ、デートごっこって感じかしら?」
「うっはは!デートごっこか、そういうことになるかもな♪
 ……ん、待てよ?つまりはこれって、ラヴィ嬢ちゃんに彼氏が出来た時の
 予行練習にあたるワケか?ほほーう、成程成程」
「……な、何よ」

カレンデュラは突然ニヤニヤし始めた。
何か企んでるんじゃないでしょうね、とラヴィエラは警戒する。
が、カレンデュラの行動はラヴィエラの予想を超えていた。

「なら、将来ラヴィお嬢様がお困りにならないように、
 僭越ながらお相手を務めさせて頂きます」

カレンデュラはスッと背筋を伸ばし、爽やかに微笑んだ。
所作もエレガントで、マナーに則った完璧な作法。
親しみやすい新聞社の所長というより、
どこか上層の騎士団に所属している本物の騎士のよう。

「!?」

やだなにこれかっこいい!
普段とは全く違う。いや、べつに普段が格好悪いっていう訳じゃなくって!
ラヴィエラは心の中で弁明をした。聞かれていないのに。
何だか調子が狂う。

「べ、別に普段通りでいいってば。所長っぽくないし」

僅かに視線を逸らせて憎まれ口を叩く。
照れちゃうから、という言葉は胸の内に押し込んで。

* * *

見た目も美味しそうだったけれど、味もやっぱり美味しい。
ケーキも紅茶も。
ラヴィエラは一口一口大事に味わっていた。
にこにこ顔で。

(しっかしラヴィ嬢ちゃん、幸せそうな顔で食べてるなァ。こういう顔見ると、
 イタズラしてみたくなるよな。どれ、ちょいとからかってみますかね)

悪戯心の赴くまま、カレンデュラは企みを実行に移す。
しげしげと周囲を見回してから、口を開いた。

「それにしてもこの店、皿にしてもテーブルクロスにしても随分と
 上等な物を使ってるな。昔取材で見たことあるんだが、
 上層部に住んでるお偉いさん方が使ってるのと同じものだぞ、コレ」
「え、上層?そんなに高級なの?」
「ああ。うっかり割ったり汚したりしたら、1万ダルクは下らねえはずだ。
 ラヴィ嬢ちゃん、汚さねえよう気を付けて食ってくれよ」

表情は真剣そのもの。口ぶりも真面目。
そんなカレンデュラの演技に、ラヴィエラはころっと騙された。

「わ、わかったわ!」

ラヴィエラは神妙な顔で頷いた。
先程とは打って変わって、恐る恐るカップを持ちあげる。
ケーキを食べる時も、フォークで皿を傷つけないように慎重に丁寧に。
その手はぷるぷると震えていた。

「……ぶっ」

ぎこちなく食べるラヴィエラの様子に堪え切れず、カレンデュラは噴き出した。

「わははは!すまんすまん、さっきのは冗談だ。
 そこまで真に受けるとは思ってなかったぜ」
「……!カレン所長!からかったわね!」
「確かに上等な物を使っちゃいるが、そんなえらく高級って訳じゃねえはずだ。
 安心して食ってくれィ♪」

カレンデュラはまだ肩を震わせて笑っている。

「笑いすぎよ、もう!」

* * *

ケーキを平らげ、紅茶も残り僅か。
美味しい物は無くなるのが早い。
楽しい時間が過ぎるのが早いのと同じように。

「ここのカフェって紅茶会社の直営店なんですって」
「へえ。通りで紅茶が美味いわけだ」
「その会社って一つの階層をまるまる所有してるらしいわ」
「そりゃまた随分スケールがでかい話だなぁ」
「カレッリ新聞もいつか有名になってそれくらい大きくなるかもよ?」
「ははっ!うちは今くらいの規模が丁度良いのさ。地元密着型ってやつだ」
「んー、確かにね。お客さんのこと覚えきれなくなっちゃうわ」
「従業員のこともな」

現在のカレッリ新聞は客や従業員ひとりひとりを大切にしている。
千人を超える従業員を抱えた大企業であればそうはいかないだろう。
でもカレン所長なら出来ちゃうかもしれない、とラヴィエラは思った。
気が乗らない仕事はサボりがちで、(仕事させるのに)世話が焼けるが、
社員達からの信頼は厚く、人を惹き付ける魅力がある。
カレンデュラに小言を言う事すら楽しいと思っているのは
ラヴィエラだけではないはずだ。
彼の周りには常に人の笑顔があり、あらゆる可能性の風が吹いている。
不可能なんてないような、前向きな風が。

「従業員が沢山いたらカレン所長がさぼっててもわからないわね」
「おっ!そりゃいいな!」
「…………」
「おいおい、冗談だって!俺が大事な仕事をさぼるはずないだろう?」
「……昨日、未決済の書類タワーが5センチ高くなってたわよね」
「うおっ!?ばれてたのか!ラヴィ嬢ちゃん、目ざといな……」
「ふふん♪」

■ ■ ■

ティータイムが終わり、カレンデュラが支払いを済ませる。
60ダルク×2人分。
プラス15ダルク。
これはクッキー詰め合わせの代金。事務所へのお土産である。
明日のお茶の時間はいつもより豪華になるだろう。

「カレン所長、ありがとう!」
「どういたしまして♪美味かったな」

カレンデュラは満足気に笑った。
事務所の紅茶などを、全部この店のものと取り替えたいぐらいの気分になる。
今まで甘い物にはあまり興味を示さなかったが、見直すきっかけになった。

「こういう機会でもなきゃ、俺はこの店に来なかったろうな。
 お陰でいい経験が出来た。ありがとなラヴィ嬢ちゃん♪」
「ふふ、どういたしまして……なんてね。お礼を言うのは私の方よ。
 それじゃ、また明日。明日こそ書類タワーを低くしてもらうから!」
「そいつは勘弁……嘘だって!ちゃんとやるさ!また明日な」

別れ際、遠ざかるカレンデュラの背中を見送って、ラヴィエラはこっそり思う。
(また来れるかしら?)
とっても素敵なティータイムを再び……そのためには、
(……カレン所長の弱みを握るしかないわね!)


カレンデュラはラヴィエラと別れた後で冷や汗を拭った。
その理由は財布の中身。
(危ねえ……)
カレンデュラの財布には140ダルクしか入っていなかったのだ。
支払った金額は135ダルク。
つまり現在の所持金は5ダルク!
(正直焦った。昨日酒場に行った後、金を入れるのを忘れてたぜ……)
吹き出る冷や汗を拭いつつ、帰途につくカレンデュラであった。

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